心に傷を負った人間の蘇生を通して

長期復興ボランティアで被災地を周った経験から「震災の風化」に危機感を持っていた。

その最中、漂流ポストの存在を知り、管理人の赤川氏とコンタクトを取った。

被災者の心に寄り添った映画を作り風化防止に繋げたい。熱い想いが届き映像化に繋がった。

東日本大震災で私達はありふれた日常がいかに儚く美しい物かを再認識した。

簡単に壊れてしまうのに忘れがちなこと。だからこそ、突然の別れ・日常を失った時、人はなかなか現実を受け入れることができない。

でも、いつかは向き合わないといけない。亡くなった人の為、失われた大切な時間の為、そして自分の為にも今を強く生きる義務があるからだ。

震災から年月が流れる中、私たちはこの教訓を活かせているだろうか?

希薄な人間関係・絶えない争い・粗末にされる命…そんな社会に再度問いかけたい。

今作が風化問題を考えるきっかけになり、明日への一歩につながることを願っている。

清水健斗

​プロダクションノート
​【リアリティの追求】

ポストを訪れた人の行動や手紙を出すに至った経緯等を徹底的に取材し作品に反映。作中に登場する手紙等も全て実在するものを使用し、震災の事実を強く訴えかけている。

​【人間ドラマを描く為に】

役者達も取材に同行させ題材に向き合ってもらった。各々が被災者の心や漂流ポストのあり方を感じることで人間らしさを引き出したかったのだ。

演出方法やオーディション方法も少し変わったアプローチをした。例えば漂流ポストに届いた手紙を読むシーン。​初めて被災者の心の叫びを感じた瞬間の表情や心の動きを描くため、取材時の映像を使用している。もちろん役者はカメラが回っていると思っていない。学生役のオーディションは、手紙を書く時の格好や表情など相手を想う心・学生らしい内から出る輝きを見る為に、実際の親友に手紙を書く所から始めた。

「素の部分」を引き出し作品に反映させる事で、空気感や人間としてのリアリティを追求した。

​【五感に訴えかける映画を目指して

人物の距離感、ラムネの泡が弾けるように突如奪われた何気ない美しい日常。穏やかな海と荒れた海など。

詩的表現・距離感・表裏性を詰め込んだ美しい映像と細かな効果音で、残された人間の心の葛藤と機微を繊細に表現。人々の五感に訴えかける。

また、直接的な震災描写は入れずに3.11前後の世界を描いており、震災の映像を見たくないといった被災者心情も考慮した構成になっている。

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